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闘うトップ2014年8月号
扱いやすいリヤカー「軽car(カルカー)」で地方発のものづくり力を証明したい(株式会社中村輪業・社長 中村耕一氏)
中村輪業がオーダーメイドで製作するリヤカーが、宅配業者などから注目されている。
ふとしたきっかけから中村耕一社長が開発し、「軽car」と名づけられた新しいリヤカーは、いま全国で700台以上が活躍しているという。
中村社長が、開発のきっかけや発売当初に味わった体験を語る。
長崎県南島原市の中村輪業はもともと自転車販売店だったが、中村耕一社長が製作を始めたリヤカー「軽car(カルカー)」が評判となり、大手宅配業者をはじめ、様々な企業から注目されている。
中村社長が「軽car」の製作を思い立ったのは、2003年ごろだった。以来、1年近くの間、試行錯誤を重ねて試作品を完成させたが、当初はまったくと言ってよいほど売れなかったという。
ところが、数か月後、中村社長の奮闘ぶりが地元紙に掲載されると、反響は大きく、ヤマト運輸から配達業務用として100台を受注した。リヤカーは、一方通行が多いビジネス街や道幅の狭い住宅街での配達に便利なうえ、燃料代が不要で、二酸化炭素を排出しないことも評価されたのである。
その後も「軽car」に注目する企業が相次ぎ、同じく宅配大手の佐川急便や「オフィスグリコ」を展開する江崎グリコ、ヤクルトなどからも受注。また、某テーマパークからの発注でパレード用の特殊な三輪自転車を製作したり、保育園の依頼を受け、遊具として小型リヤカーを製作したこともあった。
「軽car」が従来のリヤカーと異なるのは軽さと扱いやすさで、フレームには剛性を維持しながら軽量化を実現する金属素材を採用。車輪の位置を微妙に工夫して、「てこの原理」を最大限に応用した。基本的に、商品はすべて顧客の要望を反映したオーダーメイドで、同社は三次元CADにより設計から製造までを手がける。
主力は三輪自転車と一体になったタイプだが、通常のリヤカータイプから電動アシストつきまで対応し、価格はいずれもオープン価格。納入実績は100社を超え、現在、全国で700台以上の「軽car」が活躍している。
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1979(昭和54)年に親父が仕事を始めたとき、うちはバイク屋だったんです。修理もできたので、最初のころはよく売れたらしいんですが、時代の流れと言いますか、だんだん売れなくなってきて、そのうち商売替えをして自転車屋になったけれど、親父は細々と営業を続けていたようです。