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中村智彦の日本一訪ねたい工場2013年5月号
規模の小ささを武器と捉え、食品材料を用いた自然派化粧品作りに邁進する(株式会社ルバンシュ・社長 千田和弘氏)
食品材料を用い、“食べられる”化粧品を製造するルバンシュ。
規模の小ささを武器と捉え、積極的にOEM生産を手がけるとともに、オリジナル商品の開発に努め、知名度を高めてきた。
石川県能美市の「いしかわサイエンスパーク」内に本社を置く、同社を訪ねた。
JR小松駅から北東に車で約30分。石川県能美(のみ)市にある、総面積175ヘクタールの「いしかわサイエンスパーク」は、日本離れした景観を見せている。中心にそびえ立つのは、国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学の建物群。その周辺には、平屋建ての銀色の建物が散らばっている。石川県産業創出支援機構が所有するもので、箱形の外観はすべて同じだが、そこに多くの研究開発型企業が入居し、各企業の得意分野はIT関係から科学技術まで多岐に及ぶ。
そうした入居企業の1つに、今回訪問する株式会社ルバンシュがあった。同社は1990年創業。特徴ある化粧品メーカーとして着実に成長している。
本社の入口で出迎えてくれたのは代表取締役社長の千田(せんだ)和弘氏(48歳)。千田社長は、父親の経営する食品研究会社を経て独立した。招き入れられた社屋の、事務所や会議室などがまとまっている一角の隣に製造現場があった。ガラス窓を通して廊下側から見学できるようになっている。千田社長は次のように言う。
「当社は基本的に何でもオープン。廊下側からであれば自由に撮影していただいて結構です。ただ、衛生上の問題で製造現場にお入りいただくことはできません。原材料の準備段階から生産まで、クリーンルーム内で一貫して行なっているからです」(以下、発言は同氏)
製造現場は室内の空気圧を高めることで、外部から異物の進入を防いでいる。同業の中小企業がクリーンルーム内で一貫生産を行なうケースは少ないという。