編集長の取材日記
こんな社長さんに会ってきました! 【取材日記】和郷園代表理事 木内博一さん
2014年2月10日
過日、ニュートップリーダー2月号の取材で、
ランチェスター戦略コンサルタント・福永雅文さんに随行して、いま大いに注目されている
農事組合法人・和郷園をお訪ねし、代表理事の木内博一さんにお話をうかがってきました。
詳しくは、本誌にて福永氏の連載『一点突破の経営』を
ご覧いただきたいと思いますが、少しだけ紹介いたします。
和郷園は、千葉県北東部を中心に多くの農家を
組織化して「六次産業化」を果たしました。
六次産業化とは、念のため記しますと、一次産業に従事する生産者が、
加工(二次産業)および流通(三次産業)まで視野に入れた展開をはかること(1×2×3=6)。
同法人は、その代表的な成功例として注目されています。
その和郷園を設立されたのが木内さんです。
(撮影・photographer 山本信介)
◇和郷園 >>>
和郷園の取り組みは、一見するとシンプルです。
「野菜は鮮度を最優先する」
「穫れすぎた旬の野菜は冷凍保存し、旬でない時期に流通させる」
「形のよくない野菜は加工して市場に出す」────
いずれも、そう言われてみれば、なるほど、と思えます。
それなのに、同社ほどの規模で組織的に成果を上げている例があまりみられないのは、
考えつくことと、実際に遂行するのとでは違うことを如実に示しているようです。
農家に生まれた木内さんは、
「苦労が報われる農業にしたい」との思いで、
様々な挑戦を重ね、賛同する農家も増やしていきました。
現在その数は92軒にものぼります。
ふと、「やらなければならないこと」や「実現できたらみんなが喜ぶこと」は、
案外明確に存在しているのかもしれない、と思いました。
それ以上に大きな問題として、その課題の実現に、
「誰」が「どこまで真剣に取り組んでいるか」その点にあるのではないか、とも……。
大事を成し遂げる経営者の要件を、
木内さんに教えていただいた気がします。
ありがとうございました。
TPP参加も日本の農業が世界にはばたくチャンスと
前向きにとらえる木内さんの記事、読めば元気になれます。
ぜひご一読ください!
(編集部 酒井俊宏)
こんな社長さんに会ってきました! イシド(石戸珠算学園)会長 石戸謙一さん
2013年11月11日
過日、取材で、千葉県白井(しろい)市の白井そろばん博物館にお邪魔し、
同館館長の石戸謙一さんにお話をうかがってきました。
くわしくは11月1日発行の月刊ニュートップリーダー11月号・
連載『小よく大を制す ビジネス兵法』をお読みいただきたいと思いますが、
少し、ご紹介します。
石戸さんは、石戸珠算学園(運営企業・イシド)の創設者で現会長。
そろばん塾業界の革命児です。
それまで、いわば厳しい修行の場、就職に有利な資格を取得する場であったそろばん塾を、
「子供のための楽しい学びの場」と定義して幼稚園児から学べるようにすることで人気を博し、
業界における新たな流れをつくります。
腕の立つ段持ちの先生を採るのはやめ、素直で性格のよい若者に理念とそろばんを教えて、
先生として育成する形に変えたのだそうです。
↑石戸さんです。
◇イシド >>>
◇石戸珠算学園 >>>
具体的にどういう指導かといいますと、
その子にとっての小さな課題を見つけてあげて、
「すごいね。あとちょっと、ここに気をつけてがんばると、もう5点取れちゃうよ」
というふうに、小さな成功体験を積ませて褒めながら、
やる気にさせるのが基本のスタイルだそうです。
そろばんであきらめない心、努力するクセをつける「いしど式」は、
一生モノの生きる力を身につける、
効果的な幼児教育法としても注目されています。
そろばんは、段持ちにでもならないかぎり、「学んだ」と胸を張っていえない空気もあって、
かつて勉強したことのある人でも、挫折感とともに、距離を置く感覚でいたりするようです。
石戸さんは、そんな風潮をなんとかしたいという思いを強くおもちです。
上記のような手法にいたったのも、そろばんは本来楽しいもの、と思ってきたからだそう。
会長に退いたいまは、2年前に地元にオープンした「白井そろばん博物館」の館長として
そろばんの楽しさを教える伝道師としての仕事に力を入れています。
「ここ(そろばん博物館)を白井市の新名所にして、町おこしに力を入れていきたいんです」
と語る石戸さんからは、大変僭越ながら「私欲」のようなものがまるで感じられませんでした。
大をなす創業者は、そうしたところが共通しているように思います。
以下はそろばん博物館の写真です。
歴史的に価値あるそろばんも多数収蔵され、
見応えのあるコレクションが並んでいました。
◇白井そろばん博物館 >>>
(編集部 酒井俊宏)
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こんな社長さんに会ってきました! 埜庵店主・石附浩太郎さん
2013年8月27日
過日、月刊ニュートップリーダーの取材で、
神奈川県藤沢市・鵠沼海岸のかき氷店『埜庵』(のあん)に行ってまいりました。
店主・石附浩太郎さんへのインタビューです。
弊社より単行本「なぜ、真冬のかき氷屋に行列ができるのか」を
出していただいた(川上徹也氏との共著)ご縁から、
誌面にもご登場いただこうという流れになりました。
上記のタイトルの通り、石附さんのお店・埜庵は、
真冬でも行列ができるという、それまでになかったかき氷屋さんです。
自然の素材でつくるシロップの味わいと
天然氷を丁寧に削ったふわっとした食感が人気を呼び、
シーズンなら多い日で一日500人以上が来店。
しかも全国各地から熱心なリピーターがやってくるそうです。
石附さんです。
冬でも行列ができる、埜庵のかき氷。
埜庵 ホームページ >>>
「なぜ、真冬のかき氷屋に行列ができるのか」 >>>
いくらおいしいとはいえ、なぜ、それほど熱心なファンがついたのか?
詳しくは、月刊ニュートップリーダー7月号と、
石附さんのご著書をご覧いただければと思いますが、
本誌記事から引用しつつ少しだけ、記します。
音響メーカーで営業マンをしていた石附さんは、
あるかき氷屋さんで口にしたかき氷に衝撃を受け、独立を決意。
当初二年間は鎌倉市内に出店。その後、現在の鵠沼海岸に移転します。
しかし、なかなかうまくいきません。
ランチメニューなどを充実させたことから、
特徴の薄い店になっていたのです。
「かき氷屋をやりたくて、勤めを辞め、あえてこの道に入ったのに、
かき氷以外のことに振り回されているのは、やはりおかしい」
そう考え、かき氷一本でやっていくと決意してから、
すべては好転していったそうです。
とはいえ、埜庵はおいしいだけのお店ではありません。
とにかく、居心地がよい。店員さんの感じがよい。
足を運んだ人は、ほとんどがそう思うはずです。
そうしたお店の雰囲気自体、かき氷と同じく、
石附さんが手ずからこしらえたものと言っていいでしょう。
いまは夏の盛りで、連日行列だと思いますが、それでも、
興味をもたれたかたは、ぜひ、訪ねてみてください。
石附さんが人生賭けてつくりあげたお店には、
人が引き寄せられる魅力とは何かを知るヒントがつまっています。
(編集部 酒井俊宏)
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こんな社長さんに会ってきました! 中里スプリング製作所社長・中里良一
2013年7月11日
過日、『月刊ニュートップリーダー』の取材で、
中里スプリング製作所・中里良一社長にお会いしてきました。
『トップが育てば会社が育つ』と題した特集記事で、経営危機や不祥事、
あるいは社内の軋轢などをきっかけに、ご自身を成長させることの大切さを痛感し、
自分で自分を鍛えてこられた社長さんにご登場いただいています。
中里社長です。
工場内部。キリンのオブジェは自作されたものです。
群馬県甘楽(かんら)町に工場をかまえる同社は、
技術力あるばねメーカーとして業界内外から高い評価を得ています。
それだけでなく、独自の経営でも注目されています。
少しだけ紹介します。
大きな特徴は、企業としての判断基準を「好きか嫌いか」に置いていること。
営業は社長だけがやるそうです。中里社長はこう言います。
「中小製造業で社員が一番嫌で苦手なのは営業です。
嫌なことはやらせたくないので社長がやる」
毎月一回、全社員で集まり、半日から一日かけて、
それぞれの個人的な夢を語り合うという「夢会議」。
社長が独断で年に一度、がんばっている人を1、2名表彰する「ご褒美制度」。
後者では、受賞者に「会社にある材料と設備を使って好きなものをつくれる権利」か、
「嫌いな取引先を一社、切ることのできる権利」を与えるそうです。
いずれも30年以上続けているそうです。
中里社長は、社員が会社を「好き」でいられるように心を砕いてきました。
「儲かるか儲からないか、うまくいくかいかないかで
考えるから失敗する。善良な人間の集う組織であるな
ら、好き嫌いで決めればいいんです」
独自の経営は、経営者個人の強い自負や器の大きさがあってこそ、可能になります。
二代目の中里社長は、東京で商社に勤務したのち、25歳で入社します。
そして、すぐに、社員との距離を感じます。
二代目として尊重されこそすれ、誰からも尊敬はされず、侮られてすらいると感じたのです。
そこでまず、誰にも負けない技術力を磨こうと決意します。
毎晩、社員が帰ったあと、工場に戻って明け方近くまでばねをつくる。
両親には「飲みに行ってくる」と言い残し、工場に戻る。
そんな生活を続けて技能を身につけ、五年もすると全員に一目置かれるまでになっていました。
並行して、自分の甘さを克服しようと、それまでの知人・友人関係を断ったというから驚きます。
こちらも、五年ほどして、それでも会いたい、教えを乞いたい、という人には詫びて、
つきあいが復活していったそうです。
「二世、三世は裏口入学みたいなもの。だからよほど
覚悟を決めて、自分を鍛えないとダメ」
なかなかできないことです。己を鍛え抜いてこられたこと、鍛えられたという自覚が、
経営者としての自信を育み、求心力を手にすることになったのでしょう。
自らを鍛えて得た強さと、従業員さんにむける眼差しの温かさ、優しさ──。
こういう社長さんのもとで働ける従業員のみなさんは、幸せだと思いました。
(編集部 酒井俊宏)
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