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トップセールスを究める2013年5月号
チャレンジしても無理はしない、絶妙のバランス感覚で攻め、守る(ノーベル製菓株式会社・社長 藤澤肇氏)
堅実なものづくりとユニークなテレビCMで知られ、おもにキャンディ分野で成長を続けるノーベル製菓。
商品企画の経験が長く、その立場から営業を見てきて、「開発も営業もまずやってみることが大切。やってみれば必ず答えが出る」が持論の三代目経営者、藤澤肇社長に、営業戦略と今後の事業展開を聞く。
---藤澤社長は、開発畑ご出身とうかがいました。
そうですね。ただ営業経験が全然ないわけではありません。大学を出て入社した繊維メーカーでは、ごくノーマルなルートセールスを4、5年担当しました。それなりの苦労はありましたが、抜群の成績を残したとか、営業の醍醐味を感じるまでには至らなかったですね。
【 ニーズは市場に聞く 】
83年に父の経営する当社に入ってからは、商品開発を長く担当しましたが、開発がよいものをつくりさえすれば、営業に大きな負担をかけずにすむといった発想になりがちでした。極端にいえば、営業力に頼らなくても、お客様のほうから、「売ってください」といわれるぐらい魅力的な商品をつくりたい。当時は真剣にそう思っていました。それは、メーカーとしての理想の姿であっても、現実にはそうはならないということも徐々にわかってきましたが。
結局、開発部門に長くいてわかったことは、お菓子のような嗜好品の場合、薬のように熱を下げたいとか、痛みを抑えたいといった顕在化したニーズはないということ。メーカーである我々が具体的な商品にしてお客様に提示し、「どうですか」と聞いてみて、売れ行きがよければニーズがあったということになります。会社の中でああだこうだと議論ばかりしていてもニーズはつかめず、商品化してお客様に聞いてみるしか方法はありません。ですので、大きな問題点がないかぎり、「まずやってみる」のが基本のスタンスになっています。