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トップセールスを究める2013年5月号
チャレンジしても無理はしない、絶妙のバランス感覚で攻め、守る(ノーベル製菓株式会社・社長 藤澤肇氏)
---天童よしみや瀬川瑛子を起用したTVCMが大ウケして、売上が大きく伸びたそうですが、営業にとっても頼もしいサポートになっているのでしょうね。
営業マンがかなり動きやすくなったのは確かです。CMを始めたのはいまから10数年前で、バブル経済が弾けて、媒体費が安くなってきたので、先代社長が「1度やってみようか」と発案し、天童さんに出演をお願いしたのが最初です。東京、名古屋、大阪で流したのですが、インパクトがあったのでしょうね。「VC-3000のど飴」の売上は、放映前と比べて約2倍になりました。今後もCMは続けていく方針ですが、何でもかんでもCMで売ろうというのではなく、ある程度までニーズが見えてきた商品に絞って、売れ行きの後押しと、商品の寿命を長くするというスタンスです。
現在、喫煙率の低下に伴ってキャンディの需要が増え、メーカー各社は力を注ぐようになっています。地元の大阪では「大阪のおばちゃんは、バッグの中に必ず“アメちゃん”を入れている」といわれるほどすっかり身近な嗜好品になったことも影響していると思います。
ただ、以前は、女性客が多いスーパーには女性向けの商品を、男性客の比率が高いコンビニには、男性向けの商品を、といったセグメントをしていましたが、それは我々の大いなる錯覚であると気づき、最近はそうした区分をしていません。マーケティングも重要ですが、あまりこだわりすぎると、どんどん視野が狭くなり、落とし穴にはまり込んでしまいかねないと考えています。
---営業面では、どのようにリーダーシップを発揮されているのでしょう。
現在は顧問に就任していますが、2年前まで営業部長を務めていた、私のいわば右腕に極力(きょくりょく)、任せるようにして、口出しをしないよう心がけていました。どちらかといえばスパルタ式で、陣頭指揮を取り、檄を飛ばして部下の心に火をつけることのできる人材です。いまは、彼の下にいた人間がよく似た手法で部下を引っ張っています。