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  • 闘うトップ2013年4月号

    ケアシューズ「あゆみ」でお年寄りの歩行を助けたい(徳武産業株式会社・社長 十河孝男氏)

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お年寄りが介護施設に入ると、翌年にはご家族の訪問頻度が半減するといわれています。3年目には、さらに半減してしまう。寂しい思いをされているお年寄り は、実に多いんです。ならば、せめて「あゆみ」を通じてご縁をいただいた私たちが子や孫になったつもりでメッセージを差し上げたら、喜んでいただけるので はないか。そう考えて、始めました。
ただ、それは決して同情とか憐憫(れんびん)ではありません。心からの感謝なんです。いま、「あゆみ」がこれほどに支持をいただいて、徳武産業が今日を無事に迎えることができるのも、お年寄りのおかげなんですね。
「あゆみ」を発売した年の夏でした。画期的な商品なのですが、さっぱり売れない。実は、私と副会長が「あゆみ」の開発に没頭していた2年間、既存の事業は ほとんど従業員に任せきりになっていて、売上が3割も落ちてしまいました。創業以来、初めての赤字です。そういう厳しい状況のなかで、「あゆみ」まで失敗 してしまったら、もうどうしようもありません。私どもが生き残れるかどうかの瀬戸際でした。
そうして自信を失いかけていたとき、友人の施設で行なわれた夏祭りを手伝っていると、ご高齢の女性が近づいてきました。足もとを見ると、赤い水玉模様の 「あゆみ」を履いておられました。話をうかがうと、もう90代で、死ぬまでに赤い靴を履いてみたかった、とおっしゃるんですね。毎日、「あゆみ」を枕元に 置いて寝ているというお話で、私は決して間違ってはいなかったと、おおいに励まされました。このとき、初めて「いける!」と確信したんです。そして、いま もお客様からのはがきに励まされ続けています。
「あゆみ」そのものは、布とゴムでできた無機質な「モノ」に過ぎません。でも、「これで歩けますように」と、私たちが気持ちを込めることで、「モノ」に命が吹き込まれる。根拠のない精神論に聞こえるかもしれませんが、私はそう信じています。

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