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闘うトップ2014年4月号
ブランディングの重要性に着目 ハンコの素人がナンバーワンに(株式会社ハンコヤドットコム・社長 藤田優氏)
Webマーケティングの知識と技術を新事業に
商売のやり方では、「やらない」と決めているものを2つもっています。1つは怪しげな付加価値はつけないこと。業界では開運ハンコなどと売られているものも少なくありません。当社も、かつて問屋さんの勧めで「開運証明書」を付けて販売した商品もありましたけど、どこか胡散(うさん)臭くてすぐにやめ、以後そうした分野には一切手を出していません。
もう1つは価格勝負です。創業時に比べると、印鑑の相場は3分の1くらいになりました。それには当社も一役買ってきたのですが、プライスリーダーとなったいまは、これ以上の価格勝負をするつもりはありません。ネットには激安店も誕生していますけど、相手にはしない。他社との差別化はブランディングでやろうということです。
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古い体質をもつ業界だけに、創業以来アウトサイダー扱いされてきた。数年前、業界の会合に招かれ壇上に登ったとたん「何でこんなヤツを呼んだんだ」と聞こえよがしのヤジが飛んできたという。実店舗で営業する業者から見れば、ネットショップは自分たちの既得権益を侵し、秩序を乱す存在に見えるのだろう。印鑑の市場規模は3,000億円と言われるが、藤田社長は実質的には500億円くらいではないかと読んでいる。そのうちネットショップが5%として25億円、ハンコだけで15億円近く販売する同社は半数以上のシェアをもつことになる。
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電子認証が浸透しつつあり、すぐにはなくならないとしても、印鑑市場は縮小傾向にあることは間違いありません。そこでいま、台湾と欧米への進出を進めています。欧米では事前に代表者名のスタンプを銀行に届けておけば小切手を振り出すときに手書きのサインでなくても通用する制度が広がっているのです。そうなれば日本の印鑑と変わりありません。
当社は黎明期の時代から様々な集客や販売ノウハウ、広告スキルを蓄積してきました。その知識と技術は、専業のコンサルタント会社を上回るものがあると思います。これからはこの資産をベースに新事業としてWebマーケティングに乗り出していきます。ネットショップを開いたのにうまくいかないという会社に、当社が作成したソフトやノウハウを提供していく。それによって当社はもっと大きくなれるし、人の生活ももっと便利にできます。それこそが当社がミッションとする「インターネットでお客様を幸せにする」ことだと思うのです。