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闘うトップ2014年7月号
母から受け継いだ妥協なき「本当の保育」を志す(株式会社コビーアンドアソシエイツ・社長 小林照男氏)
よい保育をすれば保育士も感動を味わえる
保育士はプロパーの育成を基本に置いています。都心部は保育所が増えたことで採用難にありますが、当社は採用で困ることはありません。というのも当社は離職率が低く、昨年度実績で8.65%です。30%、40%が当たり前といわれる業界にあって、奇跡的な数字だと思います。入ってくる人の意識が高いこともありますが、長く勤めてもらうために育成のためのカリキュラムやOJT制度を充実させています。
保育士は現場でのやり甲斐がなければいくら給料が高くても長続きしません。そのやり甲斐をどう感じさせるか。たとえば運動会にこだわって、終わったあとに子供たちが感動で涙している姿を見たり、保護者から感謝されることで保育士も感動します。よい保育を提供すればするほど保育士も感動が味わえるのです。それが仕事をもっと頑張ろうというやり甲斐につながってくると思っています。
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キャリアパスも明確にしてきた。何年勤めればこの地位に立てて給料もこれくらい上がるとわかれば、保育士も人生設計ができ安心して働けるようになる。全国平均4%の男性保育士が19%に達するのも、キャリアパスが明確になっているからだろう。
現在は認可保育所の運営にほぼ特化。この点が他の大手業者との違いでもある。高い品質の保育を提供するためには、一定の規模と設備をもった施設が必要だと考えている。
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これまでは「保育のコビー」として事業を行なってきました。これからは、事業の幅を広げ「子育て支援のコビー」に変えてゆきます。この切り口だと、ゼロ歳から6歳ばかりでなく、子育てをしている人すべてを支援できます。いまは保育所だけで子育てが完了する時代ではありません。われわれが中核となって様々な情報やモノ、ヒトを総合的につなぎあわせ、子育てのために必要なサービスを生み出していきたいのです。
そのため7月より、園舎を共同設計しているミサワホームとの共同出資で、子育てに関するノウハウを蓄積する新会社を設立します。この会社では、それぞれの顧客基盤やブランド、事業ノウハウなどを融合させた、子育てに関する様々なサービスを提供していく予定です。
いまは足りない保育所も、少子化がさらに進めば、やがて余る時代がやってきます。そのときに保護者から選ばれるのはどんな保育所か。母の保育理念を広めるためにも、将来の保育所余りの時代も見据えた戦略が必要なのです。