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  • 闘うトップ2013年6月号

    伝統的な製法で品質にこだわり納豆を大阪の食文化にしたい(小金屋食品株式会社・社長 吉田恵美子氏)

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「納豆不毛の地」とされる大阪で、50年以上にわたってこだわりの納豆をつくり続けてきた小金屋食品。従業員は、わずかに5名。その全員が女性という体制ながら、天然の納豆菌でつくる口あたりのよい納豆を開発し、大阪の消費者から支持されている。吉田恵美子社長が、こだわりの商品開発と顧客獲得に向けた工夫を語る。

小金屋食品株式会社社長  吉田恵美子氏総務省の統計調査をもとにした都市別ランキングによると、「納豆」への1世帯あたりの年間支出金額が最も多いのは福島市(5528円)で、以下、盛岡市、水戸市と、上位には東日本の都市が並ぶ。
一方、最下位の大阪市(1793円)は、福島市の3分の1にも満たない。納豆にはなじみが薄いとされる西日本の都市は、総じて支出金額が少なく、近畿以西の都市で全国平均(3313円)を上回るのは、熊本市と鹿児島市のみである(東京都区部、道府県庁所在市、政令指定都市の51市が対象。2010年から12年の平均額)。納豆は「東高西低」が顕著な食品と言えるが、小金屋食品がつくる「大阪発」の本格的な商品が地元の消費者の支持を得て、いま注目されている。
同社は、大阪市に隣接する大東(だいとう)市で50年以上、こだわりの納豆をつくり続けてきた。だが、不況の影響もあって業績が低迷するなか、03年に創業者の小出金司氏が急逝。存続の危機に陥ったが、急遽、長女である吉田恵美子社長が経営に携わるようになり、07年、吉田社長が正式に2代目を継いだ。
業績回復のためには看板商品づくりが不可欠と感じていた吉田社長は、就任して間もなく、稲わらに自生する天然の納豆菌だけでつくる本格納豆の開発を決意した。だが、亡父のノウハウは伝承されておらず、開発は難航する。通常業務のかたわら研究を重ね、商品化に成功したのは1年後だった。大阪生まれの本格納豆との意味を込め、09年、『なにわら納豆』と名づけて発売した。『なにわら納豆』は自然発酵のため、一般的な納豆と比較して「糸引き」がやや弱い。だが、大豆本来の薫りにわらの芳香が加わって、納豆特有のにおいはほとんど感じられない。1本(90グラム)あたり315円と高価だが、「納豆嫌い」な西日本の消費者にも受け入れられやすい点や、同社が大阪の納豆メーカーで、吉田社長と4名の従業員がすべて主婦という女性だけの商品づくりも地元のマスコミから注目され、その評判は口コミでも徐々に広がっていった。



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