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トップリーダーたちのドラマ2011年11月号
熱・空気・水のハイテク企業へ新規事業を次々に育てる(コロナ社長・内田力氏)
既存事業にこだわり、故郷・新潟にこだわる
「石油ストーブ、石油ファンヒーターともに、かつては大手家電メーカーも生産していたが、今は多くが撤退した。対してうちは節電型、省エネ型を追及し、これらの事業を金のなる木にしてきた」
もちろん機器の改善・革新だけでなく、さまざまなコストダウン対策も講じてきた。たとえばコロナの事業でもっとも収益面で厳しいのはエアコン事業だが、「二毛作生産」と呼ぶ独自の生産システムを採って生産性向上を図り、事業継続を企図している。
「正直、エアコンは苦戦している。家電さんはコストの安い海外で生産しているのに対し、うちはすべて国内生産。そのハンディを補うために、当社では二毛作 生産、つまり同じ製造ラインで夏秋は石油ファンヒーターを、冬春はエアコンを生産、コストダウンにつなげている。加えてエアコンの場合、生産品目をオン リーワン商品だけに絞り込んでいる」
このように、コロナでは企業の基盤を作った商品群を、時代のニーズ、技術革新に合わせて変化させつつ、事業としては継続する経営を選択してきた。企業としてのこだわりである。
こだわりは、工場配置にも見ることができる。すべて国内、しかもすべて新潟県内なのだ。
「うちの商品はメード・イン・ジャパンならぬ、メード・イン・ニイガタ。新潟が私どもの故郷だから、ここでの雇用をなくすわけにはいかない。それだけでな く、工場を海外に移すと開発・生産・改良という循環が断ち切られる。(グループ会社含め)県内八工場を機能的に連携させていけば、災害等のリスクにも対応 できると考えており、今後ともこれを変える気はない」
2004年7月の集中豪雨、同年10月の中越地震、07年7月の中越沖地震など立て続けに起きた災害で工場にも被害が出たが、商品供給に大きな問題を発生させることはなかった。これがメード・イン・ニイガタにこだわる内田の自信の根拠となっているようである。