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トップリーダーたちのドラマ2011年11月号
熱・空気・水のハイテク企業へ新規事業を次々に育てる(コロナ社長・内田力氏)
アイデンティティーを守りつつ新規事業進出を恐れない
こう書いてくると、コロナは過去の主力商品にこだわり、新潟という地域にこだわる古い体質の企業のように思われるかもしれない。だが、注目すべきは一方で新たな事業分野へ積極的に進出を図ってきた点だ。
創業者の鐡衛前社長は、「石油コンロ、石油ストーブを発明しただけでなく、次々に時代に先駆けて新商品を出していった。チャレンジ精神の旺盛な男だっ た」。内田自身もそうした性癖を引き継ぎ、自らアイデアを出し、「開発優先」の姿勢を崩さず、次々と新規事業に手を染めてきている。
現在の主力事業であるエコキュート、石油給湯機などの住設関連事業は内田が社長に就任して以降、育ててきた事業である。
さらに今、4本目の柱を目指してコロナ独自のナノミストサウナを中核にアクア・エア事業に注力中だ。このナノミストサウナだが、「(技術的な)ミソの1つ は、ミストがごく微細なこと。雨粒と大きさを比べると、東京ドームと米粒ほどの差がある。ドライサウナと違い温度は39度前後と低く、幼児、女性、虚弱体 質の人にも負担が少なく、それでいて発汗量が多いため体内の老廃物、重金属を皮膚から汗として排出する。これらは、新潟大学大学院の安保徹(あぼとおる) 教授(免疫学)との共同研究で実証された。水分子マイナスイオンを大量発生させるので、癒し効果もある」
加えて、コロナはここへきて米どころの企業らしく農業分野へも進出を図っている。「私どもは熱、空気、水を扱うハードウエアメーカーだったが、水と空気そ のものも商品化したいと考えている。その関係で県内の農事法人が提唱する自然微生物農法を導入、農薬、化学肥料を使わない米の生産に踏み切った。現在は社 員食堂で用いているが、耕作放棄地も多いことから営農面積を増やし、将来は外販も考えたい」という。また微生物由来の「天然バイオ水」の商品化などにも挑 戦している。
エネルギー需給という難題を横目に、内田はコロナの「熱と空気と水のハイテク企業」への変身を目指し、意欲満々だ。