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  • 中村智彦の日本一訪ねたい工場2013年5月号

    規模の小ささを武器と捉え、食品材料を用いた自然派化粧品作りに邁進する(株式会社ルバンシュ・社長 千田和弘氏)

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小回りの利く生産設備でOEMを請け負う

「十分な資金力がある大企業は、大規模なクリーンルームを設置していますが、中堅規模になるとその規模に適した設備を設けることが資金的に難しくなる。当社のような小さな企業では生産量が少なく、巨大な設備は必要ないので、実は大きな負担ではありません。クリーンルームの奥に窓がありますよね。このサイエンスパークの風景の先に、遠く白山連峰を望むことができる広々とした自然豊かな眺めは、従業員にとってもよいはずと思い、あえて残しました」

同社を見学に訪れる業者や取引先、消費者へのPR効果は絶大だという。性能を妨げないように、窓枠はすべてコーキング剤を用いて密閉されているため開閉はできないが、見学者に対して製造現場が開放的で明るい印象を抱かせる。衛生的な製造現場と自然の風景にあふれる窓からの眺望は、化粧品という商品の付加価値を高めるだけの働きがある。

「ある業者はこの製造現場をご覧になって安心してくださったのでしょう、その場で契約をいただきました」

筆者の訪問時、現場では日焼け止めクリームを製造していた。クリームなどは、その製造工程で通常は混じり合わない水分と油分などを撹拌(かくはん)するが、それを行なう大きな釜から、ちょうど完成した製品が取り出されていた。

「工程は、どの化粧品メーカーでも同じだと思います。あの釜は業界的には非常に小さいのですが、実は当社内で一番大きな設備。釜の上の天井をご覧ください。釜を設置するために、天井を少し削って高さを確保しました。つまり、あれ以上の大きさの釜を入れることはできません。当社では、ご当地コスメなどOEM生産も請け負っていますが、これが可能なのは当社の規模ゆえなのです。大手やその下請け企業は基本的に当社の数倍以上の規模で、少ロット生産に対応できるところは少ないからです」

通常、中小企業の製造現場を見学したとき、担当者などからは規模が小さいことがマイナスになるという説明を受けることが多いが、同社は違う。規模の小ささを武器と捉えているのである。



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(株)名南経営コンサルティング
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