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組織のつくり方2012年3月
明るくがんばる組織にする シンプルな仕組み 「元気な会社」だから伸びる!(株式会社ライブレボリューション・社長 増永寛之氏)
クレド「LR HEART」であらゆる社内制度を運営
採用する新卒は4年制大学卒と大学院卒が中心だが、大学名や性別などはもちろん問わない。同社では平均的にOB訪問を5回、筆記試験を4回、面接を8回行なっている。筆記では基礎学力を綿密に確認し、このほか、携帯電話を使ったアンケートなどを何度も行ない、応募者の傾向や価値観を分析している。
増永社長がここまで採用にこだわるのは、企業の将来性は採用によって決まると考えており、価値観の合う人たちと一緒に働くことが何より大切だという信念があるからだ。増永社長が理想と考える組織を実現するため、同社では様々な仕掛けや制度がつくられている。
同社では社員をメンバーと呼び、「メンバー第一、顧客第二主義」を標榜(ひょうぼう)する。「宇宙一愛される企業」をビジョンに掲げ、社員、株主、顧客など同社に関わる人たちから愛される企業になることが社員の行動理念である。そのための指針として、「LR HEART」と呼ばれる29項目の基本原則や「メンバーへの約束」「宇宙一のコンセプト」などからなるクレド(経営理念)がある。2005年に増永社長が1人でつくり上げた。
LRとはライブレボリューションの略だが、まさに同社の心が刻まれている。中でも増永社長が好きな言葉が「愛をすべてのベースに。人は幸せになるために生まれてきた」だという。メンバーが幸せになれば、顧客も幸せになると増永社長は信じている。LR HEARTは8折りのカードになっており、毎朝1ページずつ読み合わせをする。
このLR HEARTを中心に同社は運営されており、人事考課や給与制度も連動している。以前は営業職などに月間粗利の10%を還元する成果主義的月給制度だったが、06年からはLR HEARTをどれだけ実践できたかという価値観連動型の給与制度になった。36項目からなる価値観の評価項目と、仕事そのもののパフォーマンスという二軸で、本人の周囲6人(上司・部下・同僚)から匿名で評価される。
評価は四半期に1回、実施され、ウェブを通じて自動集計される。評価点に従って昇給額が決まり、年4回、昇給する。1回当たり平均5,640円昇給するというから、年額では2万円を超える。
「マイナスの評価をされることはほとんどありません。欠点よりもよい点を指摘する風土になっているのです」
ちなみに上司が部下を叱ることも、呼び捨てや君付けすることも御法度で、全員が「さん付け」と敬語で話すのがルール。ノルマもなく、目標達成度や社内順位なども存在しない。役職手当もない。会社側の都合で業績や出世の競争をさせることは理念に合わないと考えているからだ。以前は事業部制を敷いていたが、これも06年に廃止し、フラットなユニット制に変えた。
1ユニットは定員6名で、部課長制もなく、社内はユニットメンバー、ユニットリーダー、経営メンバーの三階層しかない。
取締役以外はリーダーといえども残業代が支払われる。また、通勤時に無駄な時間とエネルギーを使わないよう、オフィスから2キロ圏内に居住すると月額3万円を上限として家賃の3割が補助される。現在メンバーの9割が2キロ圏内に住み、徒歩や自転車で通勤している。さらに8年間勤続すると1か月の有給休暇を必ず取らなければならない。メンバーの健康を考えて完全禁煙を実施。現在、喫煙者は採用せず、05年には禁煙に応じなかった役員を降格した。毎月第1月曜日の午前中には全メンバーで会社が決めた推薦図書を読む時間に充てる。社員の成長と健康のため、多大な配慮をしているのである。