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組織のつくり方2012年3月
明るくがんばる組織にする シンプルな仕組み 「元気な会社」だから伸びる!(株式会社ライブレボリューション・社長 増永寛之氏)
儲け主義の大量採用を脱し価値観重視にシフト
増永社長はなぜ、徹底した社員第一主義を貫いているのか。実は以前は一般的なIT企業のように実力主義、成果主義をよかれと思い、自身もいずれ上場して一旗揚げたいと考えていたという。
もともと増永社長は大和証券に営業として入社。そのトップに立とうと仕事に励み、起業など夢にも思わなかった。だが、2000年前後の渋谷「ビットバレー」の盛り上がりに刺激を受け、4人の仲間とともに26歳でライブレボリューションを設立した。
当初はインターネットの電子モール事業を立ち上げようとしたが、外部委託先とのトラブルで断念。02年からはインターネット広告代理店事業を開始し、これが軌道に乗った。しかし、04年にスタートした転職サイトのサービスはうまくいかず、毎月1,000万円の赤字がかさみ、ついには累損で2億円を突破した。倒産の危機感から増永社長は事業者や個人を回って出資を要請し、04年末から05年にかけて増資を行なった。その余勢を駆って本社を移転、中途採用で30人も大量採用し、一気に業容を拡大しようと図った。だが、これが失敗だった。
会社を儲けさせてくれる実力者を採ったつもりでいたが、多くが独りよがりでチームワークを無視する人間だったのだ。仕事の約束を守らず、会社や社員の悪口をふれ回る者もいて組織はボロボロになった。問題社員らと面談し、話し合いもしたが、結局半数が辞めていった。
増永社長はこの経験を経て、同じ価値観をもつ人材が集まることの必要性を痛感。考え抜いたすえに05年4月、LR HEARTを発表し、社風の確立に邁進(まいしん)していく。同じ年、社員の発案でモバイル広告代理店事業を開始、社風づくりと新事業の歯車とがかみ合い、同社の快進撃は始まった。07年後半から現在まで単月黒字を続け、累損も一掃、売上は48億円に達した。それに伴い、就職人気も冒頭で触れたように上昇していった。
「会社の価値観に合うメンバーを採用していくこと、そして常に社風によどみがないようにするのが私の仕事です」
自社の社員に元気がないと感じているなら、トップ自身が価値観を示せているのかをまず疑うべきなのかもしれない。