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経営理念2014年2月号
“世のため人の為”を貫いて支持を得る 本気で、善をなす会社(中村ブレイス株式会社 社長 中村俊郎氏)
利益の追求を優先するあまりか、昨年は大手企業による食品偽装問題が頻出した。
一方で、ひたすら真面目に“世のため人のため”を貫き、社会貢献に励む企業がある。
目の前の利益を追うのではなく、世の中に尽くすことで顧客の支持を獲得し、収益につなげているのだ。
あえて困難な道を選び、善をなすことで得られるやりがいを活力源に歩みを続けるトップの挑戦を追った。
【提言】地域や社会のために信念を貫く「実業家」が求められている
中村ブレイス株式会社 社長 中村俊郎氏
義肢(ぎし)装具メーカーの中村ブレイスは、ことし12月、創業40周年を迎える。創業から数年間は苦難の連続だったが、8年後に世界初のシリコーンゴム製足底装具を開発。以降、経営は軌道に乗り、創業20年を過ぎるころから無借金経営を続け、ここ10数年間は15%前後の経常利益率を確保してきた。現在、従業員は70名。2013年9月期には、初めて年商が10億円に届くことになる。
同社の堅実な成長は、顧客である患者からの圧倒的な支持の賜(たまもの)と言ってよい。患者の目線にこだわった義肢装具づくりで、使いやすさを追求。91年には、本社に併設してメディカルアート研究所を設立し、より精巧な質感を再現した義肢づくりをめざした。その徹底したこだわりはコスト増に直結するが、保険が適用されないため、採算を度外視して低価格に設定。メディカルアート部門単独では赤字だが、それを「健全な不採算」ととらえ、収益性の高い汎用品で利益率の低下を抑えた。
同社は、「日本で1番、感謝の手紙が届く会社」といわれる。