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経営理念2014年2月号
“世のため人の為”を貫いて支持を得る 本気で、善をなす会社(中村ブレイス株式会社 社長 中村俊郎氏)
多くの患者から支持される製品力と企業姿勢に加えて、地域貢献の実績でも中村ブレイスは多方面から高く評価されている。
中村ブレイスが本社を構えるのは、中村俊郎社長の故郷である島根県大田(おおだ)市大森町。同町を中心とする銀鉱山遺跡や街道、港などは、2007年、「石見(いわみ)銀山遺跡とその文化的景観」としてユネスコの世界遺産に登録された。しかし、同町では大正期の休山を境に過疎化が進み、人口は減少の一途をたどる。現在、同町の人口は約400人で、65歳以上の住民が40%近くを占める。
そうした厳しい環境にあって、中村ブレイスは文化財の保護や活用を通じて、地域の活性化に貢献してきた。江戸時代の武家屋敷や廃屋寸前の古民家などを購入し、同町への移住者などを対象とした賃貸住宅や店舗、従業員用社宅として再生。費用はすべて自己負担で、その数は43軒にのぼる。
また、本社に隣接する大森代官所跡に地元有志が開設した石見銀山資料館を大改装。古地図や古丁銀(こちょうぎん)など収蔵資料の収集にも努めた。一昨年には、同町では珍しい宿泊施設「ゆずりは」を建設。国内はもちろん、海外からも同社を訪れる患者や観光客の利便を高めている。
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石見銀山にまつわる資料を本格的に収集し始めたのは、もう30年近く前になるでしょうか。もともと、歴史や地理に関心があったものですから、個人的な趣味で始めたことです。
ところが、残念なことに、長い年月のなかで重要な資料の多くが散逸していました。放置すれば、やがて石見銀山の歴史を後世に伝える手がかりが失われてしまう。そんな危機感から、家族も呆(あき)れるほど資料の収集に力を入れることになってしまいました。歴史的建造物の保存や再生に取り組んだのも、同じ理由からです。過疎化や高齢化によって、昔から見慣れた古民家などが朽(く)ちるに任せる様子は、見るに忍びない。「どうにかしたい」と思っていたところ、ご縁があって、ある商家を購入したのがきっかけでした。僭越(せんえつ)ながら、そのことによって多少は歴史的な景観の保全に役立てたのではないかと思っています。