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  • 身心の整え方2013年7月号

    40代~50代が発症のピーク!“大人ぜんそく”にご用心(佐野虎ノ門クリニック院長 佐野靖之氏)

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日本の医療を変えるべく、独自の取り組みを行なう医師を訪ねるシリーズ。今回は、アレルギー性疾患(気管支ぜんそく・咳ぜんそくなど)の治療・研究に長年携わってきた、佐野虎ノ門クリニック院長の佐野靖之氏に、最近増えている“大人のぜんそく”について聞いた。


“ぜんそく”と聞くと、子供の病気あるいは子供のころに発症するものと思われがちだが、国内のぜんそく患者(推定450万人)のうち、実は半数以上は成人である。さらに最近は「大人になってから発症する人が増えてきた」と語るのは、東京アレルギー喘息(ぜんそく)研究所所長であり、佐野虎ノ門クリニック院長の佐野靖之氏だ。
「小児ぜんそくをそのまま持ち越したり、いったん症状が鎮まっていた方が、ひどい風邪や無理を重ねて疲労した後などに再発するケースもありますが、7割近くの患者さんは、大人になって突然発症しています。ピークは働き盛りの40代~50代。なかには、80歳になって初めて症状が出たという方もいらっしゃいます。最初は軽症でも、大人のぜんそくは短期間で重症化し、ある日突然、激しい発作に見舞われることもありますので、気になる症状がある方は、早めに呼吸器科を受診されることをおすすめします」

軽い症状を見逃すといつの間にか重症化!?

ぜんそくの正式な病名は「気管支喘息」といい、鼻や口から吸った空気を肺へと運ぶ気管・気管支周囲の筋肉の収縮や粘膜のむくみ、炎症などによって気道が狭くなったり、筋肉が痙攣(けいれん)して収縮することで呼吸がしにくくなる病気である。
典型的な症状は、息切れ、激しい咳(せき)や痰(たん)が出たり、“喘鳴(ぜんめい)”といわれる、ゼーゼー、ヒューヒューなど音を伴った呼吸困難だが、初期の場合、風邪に似た軽い症状なので、ぜんそくとは思わずに見過ごされやすい。また、自覚症状があっても、胸部に違和感があるから循環器科、息苦しさで不眠が続いているから心療内科……といった具合に、検査をしないうちから思い込む人も多いという。では、ぜんそくかどうかを判断する際の目安はあるのだろうか。
「深夜から明け方にかけて喘鳴や咳が出やすいようなら、ほぼ間違いなくぜんそくです。大人の場合、初めは空咳(からせき)が長く続く『咳ぜんそく』になり、そのあと少しずつ喘鳴などの症状が出てくるケースが多いですね。治療をせずに放置すると、約3割が本格的なぜんそくに移行します。また、長年ぜんそくは発作性の疾患と考えられてきましたが、近年、アレルギーや気道過敏症など遺伝的要因が深く関わっていることがわかってきました。実際、患者さんの約75%が花粉症や鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患をもっており、数年から数10年で、ぜんそくに移行する傾向が強いので、それらの症状と見分けることも大切です」
佐野氏によれば、子供の場合、成長するにつれて自然に治ることが多いが、大人のぜんそくは治りにくく、自然治癒は1割以下。多くの人は慢性化するため、治療を怠っていると、10年、20年と長いスパンで少しずつ症状が進行し、肺の機能が低下するなど重症化していく。そうなれば、通常の社会生活が送れなくなるばかりか、呼吸困難や過呼吸、意識障害、体力の激しい消耗などを伴う発作を起こして死に至ることもあるそうだ。
「健康な方で10~15ミリ、ぜんそく持ちの患者さんでも平時は6~8ミリある気道が、発作時には2ミリほどになるため、胸が痛くなったり、病院に駆け込むほどの苦しさが襲います。文字どおり“喘(あえ)ぎながら息をする”という状態ですね。ですから、ぜんそくを甘くみてはいけません。医学が進歩した現代でも、残念ながら、毎年国内で2,000人以上の方が、ぜんそくで命を落としています」
このほか、長話の後や運動中・後に咳や息苦しさが出る、冷気に触れたり、タバコの煙や香水などの強い香りや匂いで咳き込むといった人も、ぜんそく性の可能性を疑ったほうがいい。
「ぜんそくの患者さんは、慢性的に気管支に炎症があるため、気道が敏感です。そのため、普通の人にとっては何でもないような、タバコの煙や刺激物の匂いなどにも過敏に反応するのです。風邪を引いたり、過労やストレスが発作の引き金となることもありますし、ダニやほこり、ペットの毛、花粉などのアレルギー物質が気道に入るなど、身のまわりの様々な要因が複合的に症状を悪化させていきますので、それらのリスクを少しでも取り除くことが予防につながります。このほか、解熱鎮痛剤などで発作を起こす『アスピリンぜんそく』もありますので、服用の際はご注意ください」



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