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ビジネスの視点2014年1月号
明るくひたむきな挑戦で急成長 この「伸び盛り企業」がすごい!(環境経営総合研究所・社長 松下敬通氏)
支援先に夜逃げされ事業を引き継ぐ
プラスチックや発泡ウレタンは、焼却されたり、自然環境に廃棄されると有害物質を放出するため、現在、世界的に規制される方向に動いている。ヨーロッパでも、REACH(リーチ法)と呼ばれる化学物質規制が進むと、発泡ウレタンが緩衝材や梱包材として使えなくなる可能性もある。海外に部品などを大量に輸出する大手企業では、規制の強化を見越して、すでにアースリパブリックを利用するケースもある。世界の流れは、化学物質から天然由来の材料に切り替わりつつあると言ってよいだろう。
こうした流れのなかで、同社の活動は高く評価され、これまで国内外の賞を数多く受賞している。おもなものだけでも、01年の東京都ベンチャー技術大賞優秀賞をはじめ、04年の中小企業新製品・新技術大賞優秀賞(中小企業庁)、06年のニュービジネス大賞優秀賞、07年のものづくり日本大賞優秀賞、ジャパン・ベンチャー・アワード経済産業大臣表彰など、枚挙(まいきょ)に暇(いとま)がない。
海外でも、11年に国際連合システム学級評議会表彰、アメリカ大統領諮問委員会ゴールドアワード、ローマ教皇ベネディクト16世授福(じゅふく)などを受けている。
06年には、経済産業省の京都議定書目標達成産業技術開発促進事業に認定され、地球温暖化問題の解決に役立つ技術開発のための助成を受け、国際環境技術移転研究センターと共同で研究開発に取り組んだ。認定企業は電力会社やトヨタ自動車、三菱化学などの大手が中心で、ベンチャーが選ばれるのは異例だった。
だが、こうした賞や行政の助成は自然に得られたものではなく、創業当初、顧客や取引先からの信頼を得るため、松下社長が奔走した努力のたまものだった。
松下社長は、創業前、大東京火災海上保険(現あいおい損害保険)の市場開発部長だった。未公開企業への投資事業を手がけるうち、独立してベンチャー企業を支援したいと思うようになり、1998年に退職。環境経営総合研究所を設立し、コンサルタント業を始めた。独立のきっかけになったのは、広島県のベンチャー企業がおからを原料に緩衝材をつくるリサイクル事業を準備していることを知ったからで、松下社長はこのベンチャー企業に個人的に出資しただけでなく、知人にも声をかけて出資を募(つの)った。
「大企業のサラリーマンは、すぐ相手を信じちゃうから甘いですよ。そのベンチャーの内実を知って驚きました。技術はインチキで使いものにならないし、借金だらけで経営もいい加減。ついに、社長一家は夜逃げしてしまいました」
出資金は当然、持ち逃げされた。残ったのは緩衝材製造の特許だけ。泣き寝入りはできないと思った松下社長は、覚悟を決めた。なんとしても廃棄物のリサイクルで緩衝材をつくる。環境保全の役にも立つし、ベンチャーが成長する1つのモデルをつくりたいという志もあった。